突きや蹴りの威力を高め、実践的な動きを身につけるために欠かせない「胴」や「ミット」を使った練習。
この重要な修練において、私は明確な考えを持っています。 それは、「胴とミットは、可能な限り指導者や上級者に持ってもらうべきである」ということです。
厳しい言い方になるかもしれませんが、初心者同士で持ち合う練習は、ハッキリ言っておすすめしません。
下手な受け手はケガの原因になる
なぜ初心者に持ってもらうべきではないのか。 それは、思い切り突き蹴りができないだけでなく、打つ側のケガのリスクが高まるからです。
正直なところ、私自身も初心者に胴やミットを持ってもらいません。
拳や脚が当たった感触が悪いだけならまだしも、打たれることにビビって後ずさりされたり、連続で打つたびに位置が大きくズレたりしては、打つ側が関節や筋を痛めてしまいます。
はっきり言って、これでは「練習」になりません。
初心者同士のミット打ちが「最悪」な理由
これが初心者同士のペアとなると、状況はさらに悪化します。
武道や格闘技を始めたばかりの初心者は、そもそも重いキックミットや胴を「正しい姿勢で構え続ける」こと自体が困難です。 ずっと持ち続けるという安定性も欠けている人もいます。
ひどい場合には、二つ並べたキックミットを平らに保持できず、凹凸ができたところに蹴りを打ち込んでしまい、足の甲を痛めてしまうケースも少なくありません。
突き蹴り自体のフォームが固まっていない初心者が、持ち方もままならない初心者を相手に打つ。 これでは、お互いにとって上達の機会を失うばかりか、危険すら伴うのです。
遠慮は無用。自ら先輩に「お願い」する勇気を
ここまで強い言葉で批判してきました。 それくらい、初心者同士の胴・ミット練習には反対なのです。
しかし、現実問題として、多くの道場では「初心者同士でペアを組んで持つ」のが普通かもしれません。指導者の数と門下生の 人数等の関係などで、どうしても仕方のない場面もあるでしょう。
それでも、あえて言います。
せめて道場にいる先輩や上級者に、胴・ミットを持ってもらう時間をご自身で積極的に作ってください。 「先輩の練習時間を奪ってしまっては申し訳ない」と遠慮していては、いつまで経っても上達しません。
指導者や上級者は、本気で上達しようと向かってくる後輩を決して無下にはしません。
自ら環境を取りに行き、質の高い練習時間を確保すること。 それもまた、武道における重要な自己修練の一つなのです。

